医療法人好縁会 Medical Group KOENKAI

介護革命物語 

あなたが元気になる「介護革命物語」
共に笑い、共に喜び、共に生きてゆく—

ここでは日々のケアの大切さを実感したAさんの事例をご紹介します。Aさんは元々他の施設(以下B施設)に入居しておられましたが、縁あって好縁会の施設に引っ越してこられました。その引っ越しからおよそ1カ月の間に起こったエピソードです。

想いを込めた「技」〈Aさんの事例〉

Aさん 80代・女性
要介護5(介護保険制度上、最も介護が必要だと認定された状態)
介護保険施設(B施設)に入所

入所前 ◆ B施設での生活

移動は車いす、食事は介助者がつきっきりでスプーンで一口ずつ口に入れていました。食べ物はミキサーにかけて潰し、更にとろみをつけて食べやすく加工したものでした。食事の介助には時間がかかり職員が対応できないため、基本的には毎日ご家族がB施設へ行き、介助しておられました。また常におむつを使用。おむつ内へ排泄しても訴えることができないらしく、とにかく日常生活全般において介護が必要な状態でした。加えて認知症が進行してぼんやりされていることが多く、他者からの呼びかけにも反応がない状態とのことでした。

入所後 ◆ 新しい施設での生活

引っ越し初日、私が「今日から宜しくお願いします!」と挨拶すると、言葉での反応はありませんでしたが、しっかり握手をしてくださいました。他の入居者さまもAさんを温かく笑顔で迎え入れてくださいました。リビングで普通の椅子に座り替え、介助しながら飲みやすくとろみをつけたお茶を飲んでいただきました。すると、ごくんとお茶を飲み込めるではないですか。「これはミキサー食でなくとも普通食を召し上がれるのでは」と思い、夕食には食べやすいようにおむすびにしたご飯と普通食のおかずを準備しました。
夕食時、食事介助のためにこられたご家族の方はAさんの様子を見て「自分で食べているのですか?どうして?」と目に涙をためて驚かれました。Aさんは、しっかりと自分の手でおにぎりをつかんでおいしそうに食べておられたのです。時々、食べこぼす場面もありましたが、用意した食事は全部食べてくださいました。その日のうちに、おむつから紙パンツに履き替え、トイレへ座ってもらう援助を始めました。その後も継続して援助を続けると、トイレに行きたいという意思表示をしてくださるまでになりました。

入所しておよそ一ヶ月 ◆ Aさんご家族のことば

「以前は面会に行っても誰が来たのかわかっているのか、嬉しいのかどうか、まるで反応がなかったので、ただ“食事を食べさせんといけんから”と義務感で通っていました。でも、今は来るたびに元気になっていて、むしろ会いに行きたいと思うようになりました」と笑顔で語ってくださいました。

Aさんの事例は、私たちの想いを込めた技(介護の知識と技術)がご本人の能力や意欲を引き出した結果であり、その人らしい生活・尊厳が守られた生活を一緒に創ろうという取り組みの成果です。根拠のあるもので、決して奇跡や偶然などではありません。私たちは特別な技を使ったわけではなく、「工夫」をしました。この工夫が、経験と医学的根拠に基づく「技」なのです。